失業保険を利用する際、みなさんが一番重視するのは、どのくらいの期間手当を受け取ることができるか、ですよね。
受給期間によって、失業中の生活が変わることは間違いありません。
その部分を、一緒に確認してみませんか?
今回は、コロナ特例による「給付日数」の変更点を、従来の制度内容と比較しながら見ていきましょう。
給付日数の具体的な変化を確認しよう
まずは、特例によって変更がされている給付日数の具体的な中身を見ていきましょう。
コロナの影響で離職等をした場合、給付日数が60日(一部の対象者は30日)追加される特例が設けられています。
普段よりも長く、給付を受けられることになりますから、失業中の生活面の不安を軽くすることができますよね。
変更点を明確にするために、変更前と変更後の内容を表にまとめてみました。
これらの日数はあくまで目安の規定になり、実際はみなさんの雇用保険の加入期間の状況によって大きく変わります。
あくまでも最大給付日数という形で捉えるようにして下さい。
①自己都合退職の場合の比較
②会社都合退職の場合の比較
③延長期間における注意点
それぞれの表を見ると、変更点が明らかなことが分かります。
①自己都合退職の場合の比較
まずは、自己都合退職の場合の給付日数の違いを見ていきましょう。
従来の制度内容の場合の日数は、以下の通りにまとめられます。
被保険者期間 | 1年未満 | 1年以上5年未満 | 5年以上10年未満 | 10年以上20年未満 | 20年以上 |
65歳未満共通 | - | 90日 | 120日 | 150日 |
上記の表を見ると、10年未満である場合には最大90日であることが分かりますよね。
この情報を踏まえた上で、現在適用されている特例の内容は次の通りになります。
被保険者期間 | 1年未満 | 1年以上5年未満 | 5年以上10年未満 | 10年以上20年未満 | 20年以上 |
65歳未満共通 | - | 150日 | 180日 | 210日 |
それぞれの雇用保険の加入年数に、それぞれ60日追加された表がコチラになります。
1年以上働いている場合には、最大で約半年間給付を受けることができますよね。
半年は結構な時間になりますから、最低限の生活をしただけでもそれなりの出費になります。
そのサポートが通常よりも長く受けられるのは、有難いでしょう。
②会社都合退職の場合の比較
次は、会社都合退職の場合の双方の日数の変化を比較しましょう。
まずは、従来の給付日数を表にまとめました。
被保険者期間 | 1年未満 | 1年以上5年未満 | 5年以上10年未満 | 10年以上20年未満 | 20年以上 |
30歳未満 | 90日 | 90日 | 120日 | 180日 | |
30歳~35歳未満 | 90日 | 180日 | 210日 | 240日 | |
35歳~45歳未満 | 90日 | 180日 | 240日 | 270日 | |
45歳~60歳未満 | 180日 | 240日 | 270日 | 330日 | |
60歳~65歳未満 | 150日 | 180日 | 210日 | 240日 |
上記の表の数値を見た上で、下記の特例の内容をご覧下さい。
被保険者期間 | 1年未満 | 1年以上5年未満 | 5年以上10年未満 | 10年以上20年未満 | 20年以上 |
30歳未満 | 150日 | 150日 | 180日 | 240日 | |
30歳~35歳未満 | 180日 | 240日 | 270日 | 300日 | |
35歳~45歳未満 | 210日 | 240日 | 300日 | 300日 | |
45歳~60歳未満 | 240日 | 300日 | 330日 | 360日 | |
60歳~65歳未満 | 210日 | 240日 | 270日 | 300日 |
会社都合の場合は、特に給付日数の長さに大きな違いが見られますよね。
特に、1年未満であっても世代を問わず追加フォローがされていますから、働いたばかりの人でも助かりますよね。
③延長期間における注意点
また、会社都合の場合は、誰でも一律に日数が60日追加になる訳ではありません。
先程の会社都合の表を見た時に、30日分しか追加されていない箇所がありますよね。
一部の年齢に該当する人は、長く追加されませんから、自分の年齢に該当する箇所を確認する際は追加日数について確認しておきましょう。
会社都合の特例の表の中では、以下の年齢に注目しましょう。
・「35歳以上45歳未満」の給付日数270日
・「45歳以上60歳未満」の給付日数330日
みなさんも今一度、この年齢の箇所をご確認下さい。
誰にでも一律で日数が長くなっている形ではありませんから、利用する際は少し注意すべき点になります。
従来の規定日数の関係上、特例だからどの世代、加入年数でも恩恵が受けられる訳でないことは覚えておきましょう。
ところで、この特例の内容は誰でも適用される訳ではありません。
最後に、適用に関する条件に付いてご説明します。
特例における給付日数の延長が認められるのは?
2つの離職理由における特例の給付日数ですが、1回目の緊急事態宣言後で認められるのは「会社都合で退職」された人になります。
自己都合退職でも特例の措置は取られているのですが、その対象者は令和2年4月7日以前に退職した人になります。
これは、1回目の緊急事態宣言前になりますよね。
この時点だと、まだ自己都合、会社都合のどちらで退職した人でも適用が認められていますが、その後から対象範囲が明確になってきます。
以降は、基本的に「会社都合」で退職した人が適用の対象になりましたよね。
なぜかと言うと、緊急事態宣言後の社会状況を少し思い出してみて下さい。
様々な自粛を強いられた結果、企業の業績が下がり、大企業でも経営が厳しい状況になっていましたよね。
その影響は、まだまだ続いているでしょう。
そのため、1回目の緊急事態宣言後の退職における特例の適用者は、「特定受給資格者」や「特定理由離職者」が対象となっているのです。
上記の対象者が条件として指定されている時期は、以下の通りになります。
・令和2年4月8日~5月25日の期間内に離職した人
・令和2年5月26日以降に退職した人(コロナの影響で退職を余儀なくされた人)
特例と聞くと、どのような離職理由においても対応してもらえると思ってしまいがちですよね。
厳密には、どのタイミングで、何の理由で離職したかで対応が変わります。
もしかすると、ハローワークに手続きをしに行った時点で、自分が対象となるのか発覚する人もいるかもしれません。
これから申請を考えている人は、自分が対象者になっているかを確認してから、今後の動向を考えるようにしたいですね。