退職時に、上司や会社側から引き留められた経験のある人はいませんか?
会社との関係性によっては、本当に退職すべきか迷った人もいるでしょう。
しかし、中には強引な形で引き留めを行い、退職できない状態にしていることもあるのです。
そのような時は、どうすれば良いのでしょうか?
今回は、その対処法をご説明します。
基本的な考え方~引き留めには従うべきなのか?~
退職ができないというのは、「強引に」引き留めを行っている場合が該当します。
このような行為自体は、そもそも違法行為になるのでしょうか?
引き留めの中には、みなさんのことを思って意見を伝えている場合があります。
ですが本来、留まるかどうかの判断は、労働者であるみなさんが行うことです。
「引き留めを聞かずに辞めてしまった」ということに、心証が悪いと感じる人もいるでしょう。
しかし、その考えは間違いです。
下記の2つの視点から、労働者の意思が尊重されることをご説明します。
①引き留めを断って退職しても、本来なら問題なし
②不当な要求を提示されても従わなくて良い
適切な対処法を実行するためにも、基本知識を確認しておきましょう。
①引き留めを断って退職しても、本来なら問題なし
そもそも引き留めは、労働者に対して会社側が「お願い」することを示します。
例えば、退職が決まっても、「繁盛期を避けて退職してほしい」というような内容が挙げられます。
上記の事情に対応できる人もいれば、転職等の関係から難しい場合もあるでしょう。
つまり、強制力を持った行為ではありません。
従って、労働者であるみなさんの都合を優先したとしても、何か責任を問われることはないのです。
意外と、このことを知らない人は多いです。
提案に応じれる場合は応じる、くらいのスタンスで良いと考えましょう。
②不当な要求を提示されても従わなくて良い
強引な引き留めがされている事例には、以下の内容が挙げられます。
・次の後任者が決まり、引継ぎができるまでは辞めさせない
・有給休暇の消化をさせない
・退職するにあたり、損害賠償を求められる
・離職票の発行をしてくれない
これらの事例は、明らかに退職をさせない意図が隠されています。
さらに、退職にあたって本来ならば会社側の義務に該当する内容を、放棄していることもあるでしょう。
特に、労働基準法の内容に違反している引き留めを行っていることも、近年は増えてきています。
このような場合、違法行為の引き留めに応じる必要はありません。
なぜなら、そもそもの行為自体が違法だからです。
また、引き留め自体が合法的な内容であっても、①でご説明した通り、その判断は労働者が行います。
真っ向から受け止めなくても大丈夫ですから、不安に感じている人はご安心下さい。
ここまでの内容を知ると、会社側に対して「心証が悪い」と思う必要は全くありません。
むしろ、退職すること自体は労働者の選択になりますから、「辞めさせない」と行動する方がNG行為なのです。
仮に話し合い、引き留めに応じるとしても、今までの会社との関係性から考えて判断するようにしましょう。
強引な引き留めにあった時の対処法とは?
一方で、強引な引き留めによって、中々退職のタイミングが掴めない人もいるでしょう。
そのような人には、以下の対処法が挙げられます。
①書面で意思表示・内容証明を送付する
②労働基準監督署に相談する
③退職代行サービスを利用する
上記3つの方法は、自分でもできる方法から、労働・退職関連のプロに対応を依頼する方法になります。
まずは、現状が自分でも対応できるのか、対処できない状況になっているのかを考えてみましょう。
その上で、それぞれの対処法の内容をご覧下さい。
①書面で意思表示・内容証明を送付する
1つ目の方法は、自分で退職の意思表示をしっかりと行う方法です。
退職届を作成し、それを上司へ渡すことで、退職する意志が強いことを口頭以上に表すことができます。
仮に上司が受け取ってくれない場合は、人事担当やさらに上の上司へ渡すようにして下さい。
書面があるというのは、今後の手続きをする上で有利になります。
また、状況によっては会社自体が労働者から直接の受け取りを拒否することもあるでしょう。
そのような場合は、「内容証明」を利用して、会社側が受け取ったことを証明してもらう方法があります。
これは、退職届を送付したことを郵便局が証明してくれますので、当事者間の書類のトラブルを回避することができます。
仮に、受け取り拒否をされた場合でも、「退職の意思」自体は伝わったとみなされることになりますから、そのまま次の行動を起こしても問題ありません。
しかし、上記の行動を取ったとしても、会社側が退職の手続きを進めてくれない場合もあります。
そのような場合、労働者自身でできることはありません。
自分で対処しきれない時は、次の対処法に移りましょう。
②労働基準監督署に相談する
2つ目の方法は、労働基準監督署に相談することです。
ここに相談する最大のメリットは、相談料がかからないことです。
よく弁護士等の法律のプロに相談すると良いと言われますが、この場合は相談料が発生しますので、費用的に厳しい人もいるでしょう。
相談の際は、直接出向かなくても構いません。
メールや電話でも相談を受け付けていますから、置かれた現状について冷静に対処してもらえるでしょう。
これは、労働問題の専門機関ならではの特徴になります。
一方で、相談をしたからと言って、必ず行動をしてくれる訳ではありません。
仮に、会社側に対応をしてくれたとしても、みなさんが望んだ結果にならないこともあるのです。
そうなると、状況が改善されないまま時間だけが過ぎてしまいます。
何より、会社側に注意しても、その後の行動はみなさんがしなければなりません。
人によっては、意味がない、かえってやりづらいと感じてしまうこともあるでしょう。
労働基準監督署は、あくまでも会社へ指導や命令を行ってくれる場所と考えておくべきです。
従って、相談したことによって、退職手続きがスムーズになるとは限らないことを覚えておいて下さい。
③退職代行サービスを利用する
3つ目の方法は、退職代行サービスを利用する方法です。
退職代行サービスは、みなさんに代わって直接退職手続きを進めてくれるサービスになります。
退職手続きは、本来ならば自分で行わなければなりません。
しかし、何らかの事情により、自分でできない場合もあるでしょう。
そのような時に、活用すべきサービスになるのです。
そして、サービスによっては退職の意思を伝えるだけでありません。
私物の回収等、退職時にすべき作業を全て行ってくれる場合もありますから、会社に行けないという事情を抱えている人にもお勧めできます。
そして、近年の退職代行サービスでは、法律の専門家である弁護士がサポートしていることが多いです。
そのため、賃金の未払い等、法律問題に発展するトラブルの解決も見込むことができますから、泣き寝入りする必要はありません。
全てを精算して、退職することができるのです。
これは、様々な悩みを抱えながら退職を視野に入れている人にとって、見逃せない情報になるでしょう。
また、退職後の生活に関するサポートや、転職サポートが充実していることがあります。
退職したら終わりでなく、先を見据えたサービスを提供しているのです。
「退職しても、その先が不安だ」と考えている人にとっては、心強いでしょう。
退職時のトラブルは、複雑になればなるほど、自分で解決することが難しくなります。
身動きが取れなくなってしまう前に、プロの力を借りるようにして下さい。
担当スタッフが丁寧に対応してくれますから、今後の見通しも持ちやすくなるでしょう。
困った時は視野が狭くなりがちですから、専門サービスを利用するという選択肢も頭に入れておいて下さい。