働いている人ならば、「失業保険」は誰でも貰えると思っていませんか?
この認識は、間違っているのです。
知らずにいると、手続きしようとしてもできません。
すると、当面の生活が不安になってしまいます。
そうならないためにも、貰えない事例をここで学びましょう。
失業保険を貰えない5つの場合
失業保険は、雇用保険に加入し、以下の条件を満たしている人が利用できる制度になります。
・雇用保険の最低限の加入期間を満たしていること
・失業状態にあるが、「働く意思」があること
上記2つの条件は、離職を考えている人ならば事前にチェックするでしょう。
しかし、みなさんの離職時の状況によっては、制度の利用が不可能になることがあるのです。
特に、現在は働き方が多様化しています。
大丈夫だと思っても、手続きをした時に発覚すると、精神面でのダメージは免れません。
想定される事例は、以下の内容になります。
①雇用保険の条件を満たしていない場合
②そもそも就職活動ができない、しない場合
③フリーランスを目指す場合
④副業収入がある場合
⑤60〜64歳の人で年金を受給している場合
上記の5つの内容は、誰にでも当てはまる可能性があります。
①雇用保険の条件を満たしていない場合
1つ目は、加入期間の不足です。
本来の条件を、一度おさらいしましょう。
・自己都合退職なら退職前2年間のうち12カ月以上あること
・会社都合退職なら退職前1年間のうち6カ月間以上あること
ここで計算する際に注意したいのは、「通算」して考えることです。
例えば、離職前の2年間のうち、12カ月以上勤務した事実があったとします。
ですが、そのうちの1カ月に3週間、何らかの事情で欠勤があった場合を考えてみましょう。
欠勤部分は、全体の加入期間にカウントされません。
加入期間の計算は、「賃金支払い日数が11日以上ある月」を1カ月として考えます。
私たちは単純に「加入期間=被保険者期間」と考えてしまいますが、ここでこの認識が間違いであることに気づいて下さい。
従って、欠勤日数が多くあるほど、被保険者期間の対象外になる可能性が出てくるのです。
このことを知らなければ、当然利用できると思ってしまうでしょう。
欠勤が多い場合は、要注意です。
②そもそも就職活動ができない、しない場合
2つ目は、働く意思の問題です。
例えば、仕事を辞めたら専業主婦になる、病気の治療に専念するという人がいたとしましょう。
上記の考えがある人は、すぐに働くわけではありません。
専業主婦というのは家庭に専念することですし、病気の場合も、治療が終わったら仕事をしようとするかもしれませんが、いずれにせよ、今すぐではないですよね。
このように、すぐに次の職場で働く意思がなかったり、健康に問題があって働けなかったりする場合は、対象外になるのです。
条件の中にある「働く意思」には、気持ちの面だけでなく、健康や体に支障がないことも含まれています。
働いて収入を得るためには、欠かせない要素なのです。
従って、就職活動が不要な人やそのような状態になっていない人は、貰えないと考えるべきです。
③フリーランスを目指す場合
3つ目は、次の就職先を探さずに、フリーランスになる場合です。
フリーランスという働き方は自営業になり、「就職」という表現に当てはまりません。
従って、失業保険の対象外になる可能性があります。
ですが、完全に対象外になるとも言い切れません。
「開業」することを視野に入れている場合は、必要な手続きを踏めば失業保険を利用することができるのです。
実際にフリーランスの仕事が実現できるまで、お金の面で不安を抱える人は多いです。
今回の情報を知っておくと、フリーランスになる場合の経済的なリスクを、小さくすることができるでしょう。
しかし、フリーランスとして働く準備をし始めた時点で、「就職する意思がない」と判断されます。
上記の段階なると、「就職する意思がない」ことは明確です。
失業保険と仕事のタイミングを誤ってしまうと、対象外として扱われてしまいますから注意して下さい。
④副業収入がある場合
4つ目は、近年増えている副業している人向けの内容になります。
失業保険は、本来仕事を失って収入がなくなった人に対して、再就職に向けたサポートという意味があります。
基本的には、無収入になった人が受けられる制度と考えても構いません。
しかし、本業の仕事を辞めた後も、副業自体を続けている場合は「収入がある」と考えることができます。
この状況では、失業保険の理念に合致しません。
特に、副業収入が高額になるほど、対象として扱われにくくなることが予想されます。
副業は、現在の収入にプラスになるメリットがあります。
ですが、失業時にはマイナスになってしまう可能性があることを覚えておきましょう。
⑤60歳〜64歳の人で年金を受給している場合
5つ目は、年金と失業保険が一緒に受け取れない場合です。
この事情に該当するのは、60歳~64歳までの年金の受給を前倒しすることを検討している人です。
上記の年齢の場合、まだ働く意欲がある人もいますから、失業保険の対象になり得るのです。
ここで、少し年金制度について確認しておきましょう。
60歳~64歳の場合、受給される予定の年金は「特別支給の老齢厚生年金」になります。
失業保険と目的は違いますが、生活をサポートする意味では同じくらい重要視されます。
しかし、65歳からの本格的な年金受給とは違い、失業保険と一緒に利用することができないルールになっています。
そのため、どちらを利用するのか考えなければなりません。
給付を検討する際に、メリットの大きい方を選んで利用した方が、みなさんにとってはお得なのです。
両方の説明をよく確認して、選択するようにして下さい。
余談ですが、65歳以上の場合は対応が変わり、年金と一緒に受け取ることが可能になります。
本来の年金の受給開始年齢に届いているかどうかは、大きなポイントになります。
年齢を重ねている世代だけでなく、若い世代も将来のために、この情報を知っておきましょう。
貰えないことでショックを受けないために
ここまで、5つの事例を確認しました。
どれも、自分には当てはまらないと思う人もいるでしょう。
しかし、自分が知らないだけで、結構該当していることがあるのです。
その最たる例は、雇用保険の加入期間です。
自分で計算して大丈夫だと思っていても、申請時に違っていたということはよくあります。
大変な事例だと、そもそも会社側が雇用保険に加入させていなかった、自分の働き方が加入対象外だったことを知らなかったこともあります。
いくら自分で確認していたとしても、細かい部分の確認まではできません。
その際に、貯蓄等がある場合ならば何とかできるかもしれませんが、そうでない事情の字ともいるでしょう。
特に、現在のコロナ禍の状況だと、このような事実は致命的なダメージになり兼ねません。
従って、退職前に会社側ときちんと状況を確認しておくことをお勧めします。
「意外とシビアだな…」と思ってしまうのは、当たり前です。
このようなことを知らなければ、苦労するのは自分です。
しかし、みなさんは今回の記事を読んで、具体的な事例を学ぶことができましたから、無知のまま働くことになりません。
いざ退職するという時には、自分が対象から外れていないかどうかを知るすべを持っているのです!
これは、他の人と違った強みになります。
困った時の相談は、お住いの地域のハローワークで受け付けていますが、今後の状況を全部サポートしてくれる訳ではありません。
確実に制度を利用したいならば、在職中から制度内容について知り、きちんと内容を理解しておきましょう。